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【ニュース】 自動車部品メーカー、Bosch(ボッシュ)の電動バイクシェアサービス「Coup(クー)」

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ドイツのメーカー、Bosch(ボッシュ)といえば、自動車部品や電動工具メーカーとして日本でも馴染みがある。

そのボッシュが展開する電動バイクのシェアリングサービス「Coup(クー)」は、ベルリン、パリ、マドリードといった欧州首都へのサービスを拡大している。台湾のスマートスクーターメーカー「Gogoro」が製造したスクーターを活用し、アプリで解錠/施錠ができる乗り捨て型のこのサービスは、人口集中が続く都市部の交通渋滞や環境汚染の解決策として期待されている。Coupを子会社として設立したボッシュは、「所有から利用」へと変革する自動車・バイク業界の変化をとらえようとしている。
bosch coup
(イメージ画像)

ボッシュが開始した電動バイクのシェアリングサービス「Coup(クー)」

都市の渋滞緩和が悩みの種となっているのは、全世界で共通する現象だ。運転手が交通渋滞で足止めされている時間を年間で算出すると、モスクワが91時間で欧州1位、次いでロンドンが73時間、パリが65時間と続く。非生産的な時間は都市の経済を圧迫し、また、労働者の生活の質も下げてしまう。

交通問題は、今後、悪化の一途を辿る可能性さえある。都市部への人口集中が続いているため、より多くの人が限られた道路と駐車場を奪い合って利用するようになるのだ。

世界中で都市部に住む人口の割合は、1970年には30%だったのが、2014年には54%、2050年には66%に達するとデロイトは予測している。さらに、過剰な自動車利用は環境問題も引き起こすため、欧州の主要都市では、中心地への自動車乗り入れを規制する動きも増えてきた。

そこで、小回りが利き、かつ環境に優しい交通手段として注目されているのが、電動バイクのシェアリングサービス「Coup」だ。自動車部品大手のボッシュ(独)が子会社として設立した企業で、ボッシュの本社があるゲルリンゲンの他、パリ、ベルリン、マドリードと欧州3国の首都へのサービスを開始した。

どこでも乗り捨て、使った分だけ支払うサービス

専用のアプリでスクーターの検索・予約・料金の支払い等を行う。ヘルメットボックスを開けたり、走行を始めると、Bluetooth経由で電動バイクと接続したスマートフォンを通じ、動作が確認されるしくみだ。
bosch coup

小型の電動バイクをいつでも、どこでも、好きなときに乗れるこのサービスの魅力は、そのシンプルさにある。バイクの免許を持ってさえいれば、アプリを登録するだけで利用を開始できる。鍵もカードも必要ない。自分の近くにあるバイクをアプリで探し、バイクの「Go」ボタンを押せば運転を開始できる。アプリとバイクが通信し、自動的に認証を行う。

シート内にはヘルメットが用意されているので、自分で準備するものはない。事故が起きた際の保険も含まれている。利用を終了する際も、アプリだけで操作が完了する。乗り捨て型なので、降りる場所を選ぶ必要がない。電動バイクの充電もCoup側が行う。

人口密度の高い欧州首都では、十分な数の電動バイクが導入された。ベルリンは1000台、パリは600台、マドリードは850台が導入され、必要なときにバイクが見つけられる環境が整備されている。

利用料金は、使った分だけ支払う従量課金制になっている。ベルリンの場合、始めの30分は3ユーロ(約370円)で、その後、10分ごとに1ユーロが追加される。1日(午前7時〜午後7時)使う場合は20ユーロ(約2500円)、一晩(午後7時~午前7時)使う場合は10ユーロ(約1250円)といったプランもある。料金や規約が都市によって若干異なるが、基本的なしくみは共通だ。

台湾のスマートスクーターメーカー「Gogoro」の欧州展開

Coupで提供される電動バイクは、台湾のベンチャー企業「Gogoro」によって開発されている。バイクの利用が盛んな台湾において、電動バイクのシェア92%を占めるのが同社だ。Gogoroの電動バイクは加速性能が高いため、乗り心地に定評がある。

▼Coupのビジネスモデル
bosch coup ビジネスモデル

充電インフラに力を入れるGogoroは、交換式のバッテリーが特徴だ。電源をつないで充電するのではなく、シート内に2個格納されたリチウムイオン電池を入れ替えるしくみになっている。その間、かかる時間は数十秒。満充電で約110キロ走行できるという。

各種センサーから取得した情報や電動バイクの設定をアプリから確認できるのが、Gogoroの大きなメリットとなる。アプリの解錠/施錠がアプリからできるのは、Coupのシェアリングサービスにおいて、利便性を高めるキモとなっている。

2011年に創業されたGogoroは、パナソニックと住友商事を含む複数の投資家から、2017年に3億ドルの出資を受けている。日本でも、沖縄県の石垣島で電動バイクのシェアリングサービスを開始した。パナソニック製の電池を搭載し、観光向けに100台を導入するプロジェクトだ。

加速する所有から利用の流れ、求められるビジネスモデルの変革

輸送手段を、所有せずに利用するトレンドは、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)と呼ばれる。自動車やバイクなどの交通手段を個人が所有するのはなく、共有するしくみだ。利用者は大きな出費を避けることができ、必要な分だけ支払えばよいので、コストを最適化できる。所有するコストが高くなりがちな都市部では、特に価値が高い。

交通渋滞や環境汚染の解決にも貢献するため、MaaSは公共部門の後押しを受けて、世界的に急拡大する可能性を秘めている。全世界のMaaS市場は、1兆7,500億ドルという途方もない規模になるとの予測がある。

トヨタが「モビリティ・カンパニー」への戦略シフトを発表したように、MaaSは自動車業界を超えた大きな潮流となってきた。ホンダ、日産、ダイムラー、BMWといった自動車業界はもちろん、自動運転車を開発するグーグルやウーバーといった新興サービス企業もMaaSへの興味を示す。

所有から利用への流れが加速すれば、自動車やバイクを買う人がいなくなり、それをサービスとして提供する形となるため、ビジネスモデルの変革が求められているからだ。

MaaSを実現する乗り物も多様化が進む

MaaSの乗り物は、その用途によって細分化が進んできた。カーシェアリングはZipcarなどが知られ、最も展開が進んできた分野だ。また、Coupのような電動バイクは自動車よりも小回りが利くため、人口密度の高い地域に向いている。Coupの他にもフランスのCityscoot、米国のScootが同様の電動バイク・シェアリングサービスを開発した。

さらに、1人で短い距離を移動するニーズに応えるため、電動キックボードのシェアリングサービスも開始された。カリフォルニア発のBirdは、史上最も早く10億ドルの評価額に達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たしたとして話題になった。

自動車、電動バイク、電動キックボード、さらには自転車といったシェアリングサービスは、都市の特性によって向き・不向きが異なる。米国のような広い都市では自動車が好ましいが、歴史があり、入り組んだ構造を持つ欧州では、バイクやキックボードの方が利便性が高い。

ロサンゼルスでは移動の95%が自動車であるのに対し、ロンドンでは30%にすぎない。また、公共交通機関の整備状況も影響する。目的地まで直接行くのか、最寄り駅までシェアリングサービスを使うのかといった用途の違いもある。

シェアリングサービスのしくみさえ築いてしまえば、複数の形態の乗り物を提供するのも容易になる。たとえば、クルマの配車で事業を拡大したウーバーは、電動バイク及びキックスケーターのシェアリングサービスを提供するJumpを買収し、同様の事業を営むLimeに出資した。競合のLyftも同様に、電動自転車のMotivateを買収している。

ボッシュがCoupを設立したのは、MaaSのトレンドを先取りする動きだったといえるだろう。同社のモビリティ事業は、グループ全体の59%を占める主要な事業で、これまでは消費者向け製品ではなく、自動車部品をポルシェやテスラといった企業に提供してきた。

所有から利用への動きが起きる中、自動車部品からサービス開発へ舵を切ったボッシュの戦略は大きな意味を持つ。電動バイクや充電ネットワークの開発をGogoroと提携し、サービス企画・開発をボストン・コンサルティング・グループの事業創造部門BCGデジタルベンチャーズと協業した組み合わせも、これからの自動車業界を占う上で興味深いものだ。

参考
https://www.sbbit.jp/article/cont1/36037?ref=190219bittsed

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